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癌掲示板..>強度変調放射線治療(IMRT)

1 名前: 名無しさん 投稿日:2002/10/28(月) 12:29

現在、実施しているのは10施設足らず
準備中を含めると30近くになる次世代の放射線治療。

前立腺がんのほか、
のどや口の中のがん、脳腫瘍(しゅよう)などの治療に期待されている。

2 名前: 朝日新聞 投稿日:2002/10/28(月) 12:31

早く見つけて積極的に治療するか、注意深く見守るか。研究は続く。

前立腺がんをピンポイントでねらい撃つその治療法は、「究極の放射線治療」とも呼ばれる。

千葉県がんセンターや京都大病院などが始めている「強度変調放射線治療(IMRT)」だ。

 千葉市中央区の県がんセンター。ベッドの上の患者に五つの方向から放射線をあてる。一つの方向か
らの照射時間は4分ほど。その間、照射口にあるタングステン製の絞りは、コンピューター制御で50通り
ぐらいに形を変える。

放射線の強さを場所によって細かく変え、がんに集中させるためだ。それを別の方向からも繰り返す。

前立腺は、膀胱(ぼうこう)と直腸に挟まれた臓器。形も大きさも栗の実に似ている。

ここにできたがんに放射線を多方向から照射する治療法はこれまでもあった。

 ところが、前立腺の数ミリ後ろにある直腸は放射線に弱い。これまでの方法は放射線の強さは一定だっ
たため、直腸に大量の放射線があたるのを避けられず、強い痛みなどの副作用が10?20%の人に表
れた。

IMRTなら自在に強さを変えられ、直腸にあたる線量を大幅に減らせる。



 同センターは00年、国内で最も早くこの治療法を導入。25人の患者を治療したが、重い副作用は出て
いない。副作用の心配が減った分、従来60?70グレイだった放射線の強さも76グレイに上げることがで
き、効果が高まると期待される。

「IMRTが登場し前立腺がん治療で放射線の担える割合が増えてきた」と幡野和男・放射線治療部長。

 90年代後半から、前立腺特異抗原(PSA)検査が普及し、ごく早期のがんがたくさん見つかるようにな
った。治療を早く始められる一方、課題も出てきた。

 前立腺がんは高齢者に目立ち、特別な例を除けば、ほかのがんに比べゆっくり大きくなることが多い。
放っておいても死に至らない場合も少なからずあると考えられる。そんながんも治療しているのではない
か。

 香川医大の筧善行教授らの研究班は、前立腺がんと診断後、経過を見守るだけで何も治療しない「待
機療法」の研究を進めている。

 手術にしろ放射線にしろ治療をすれば性機能障害や尿失禁などの副作用が心配される。待機療法は、
こうした心配がないのが大きな利点だ。



もっとも、早く治療すれば根治できたがんの場合には、その時期を逸することになる恐れもある。

 研究の対象は、ごく初期の小さながんで、病理学的検査で「たち」が悪くないことが確認されている――
などの基準を満たした人たち。香川医大では、前立腺がんと診断された人のうち、この基準を満たすのは
一割ほどになるという。

 この人たちに6カ月間待機療法をしてもらう。その間PSAを検査し、がんが早く大きくなる人がどのくらい
いるのか、待機療法を選ぶ基準は適当かといったことを調べている。

「いまの基準で選ぶと、15%ぐらいは比較的早くがんが大きくなる人も含めてしまうとはいえ、ある程度
は待機療法でいい患者が予見できるようになってきている」と筧さんは言う。

 「前立腺がんは、他のがんに比べ治療の選択肢が多い。主治医とよく話し合い、必要ならばセカンドオ
ピニオンも得て、それぞれの治療法の長所、短所を十分に考えた上で治療を選んだほうがいい」と、垣添
忠夫・国立がんセンター総長はアドバイスしている。

◆IMRTの課題
 IMRTは前立腺がんのほか、のどや口の中のがん、脳腫瘍(しゅよう)などの治療にも
期待される。実施しているのは10施設足らずだが、準備中を含めると30近くになる。
 切れ味鋭い新治療法だけに技術的に難しい面もある。照射が数ミリずれると大きな副
作用につながる。放射線治療の施設認定をしている日本放射線腫瘍学会は4月、IMR
Tの実施には、高度な放射線治療に欠かせない医学物理士らを確保し、安全対策を取
る必要があると緊急声明を出している。

http://www.asahi.com/life/health/cancer/series/K2002102700087.html

3 名前: 第32回制癌シンポジウム 投稿日:2002/11/30(土) 10:39
*********
-IMRTの放射線生物学-

 近畿大学医学部放射線医学講座 西村恭昌

 放射線腫瘍学において今一番のトピックスは、強度変調放射線治療(IMRT; intensity modulated radiotherapy)である。
5-6年前まではIMRTといっても誰も何のことか分からなかった。
これまで、放射線治療では、腫瘍もまわりの正常組織も一様に照射していたが、
IMRTでは例えブーメラン型の腫瘍でもこれを選択的に照射し、周囲正常組織への線量を大きく減少させることができる。
このため、合併症無く癌を根治させるという長年の放射線腫瘍医の夢が現実のものになりつつある。
同様のことが可能な粒子線治療や陽子線治療と比較すると、IMRTは通常の直線加速器で治療が可能なため、
多くの施設で実施可能となるだけに、放射線治療の臨床に与えるインパクトは大きい。
 IMRTはこれまでにない空間的線量分布の優れた照射法であるが、基本的には三次元原体照射の進歩した照射法と考えてよい。
したがって、IMRTでは治療可能比の考え方や、線量分割法など従来の放射線治療の基本となる放射線生物学の知識が必要である。
この点において線量を1点に集中し、組織を壊死に至らしめるradiosurgeryとは考え方を異にする。
 当院においても2000年12月よりIMRTの臨床応用を開始し、すでに脳腫瘍、頭頸部腫瘍を中心に20例以上のIMRTを行った。
IMRTには高い物理的精度管理が要求されることはよく知られているが、一方で放射線生物学的な知識も重要になる。
ここでは、主として放射線生物学の観点からIMRTを考える。
 IMRTでは1回2Gyの照射をdynamic MLC法5門照射で行うのに合計15-20分かかる。
この線量率を単純計算すると10-13cGy/minとなり、低線量率照射の領域に入る。
したがって従来の高線量率照射に比較すると効果が下がる可能性がある。
また、IMRTでは多門照射となり、標的体積の周囲の正常組織に広範囲の低線量域が存在することになる。
また、IMRTでは通常照射よりMU値が大きくなり、MLCからの漏洩線量も無視できず、全身被曝も増加する。
これらの線量は一般的な晩期障害の閾値よりは低いが、二次発癌や遺伝的影響などの確率的影響に関しては問題となる。
 われわれが悪性神経膠腫に対して行っているsimultaneous integrated boost (SIB)法は、神経膠腫の1回線量依存性が高い、
すなわちα/β 比が低いことを利用している。すなわちGTVと周囲の低吸収域であるCTVに線量勾配をつけ、
GTVには2.5Gy、CTVには2.0Gyを照射する。
従来の照射法では脳壊死などの晩期障害が増加するため1回線量を大きくすることはできなかったが、
IMRTではGTVの形状にあった選択的な高線量域を作ることができるため比較的安全に1回線量を増加することができる。
また、1回線量を増加することによって照射期間の短縮がはかれ加速照射が行える。
 いまだ実用化されてはいないがbiological target volumeという概念がIMRTによって出現した。
これは腫瘍体積のうち、腫瘍増殖能の高い領域、低酸素領域、
あるいは休止期細胞の多い領域などをPET, functional MRI, spectroscopyなどで画像化し、
意図的に腫瘍内不均一線量分布の作成できるIMRTで腫瘍のうち特に放射線抵抗性と考えられる領域にはより高線量を照射し、
治療効果を高めようという考え方である。
いずれ遺伝子異常の画像化も可能になるだろうから、
今後さまざまなbiological target volumeに対する選択的な照射が可能になるであろう。
 IMRTは腫瘍に高線量を照射し、かつリスク臓器には線量を低くできる治療可能比の高い理想的な照射法である。
IMRTを安全かつ効果的に遂行するには、高い物理的精度管理に加え、放射線生物学の知識が要求される。
http://www.med.akita-u.ac.jp/~housya/NewFiles/syoroku.html#Anchor-IM-4272

4 名前: XRAY 投稿日:2003/02/23(日) 15:25
IMRTとは、従来の放射線治療での原体照謝や回転照謝の概念に 放射線の線量分布を3D的に考え時間差分法などを使い より病巣のみに照謝する方法です。

5 名前: ブル◆Wymftu56 投稿日:2003/08/20(水) 22:14
79歳の母は舌ガンの第3ステージで放射線の外照射2グレイ×25=50グレイの治療中です。
完治は無理との事。体力的に手術は無論、低線量率照射も難しくこれより方法が無いと言われています。
このような状態の患者に対してIMRTの効果を、術後QOLの観点から有効に発揮できるかどうか是非教えていただきたいと思います。
又、IMRT治療可能な病院も。効果的な治療法は色々とあるようですが、体力的にどれも難しいらしいのです。
よろしくお願いいたします。

6 名前: 名無しさん 投稿日:2003/09/06(土) 01:55
本館の方に、「Cutting Field IMRT(CFIMRT)」というスレッドが
立っていますが、単なる「IMRT」と「CFIMRT」は、どう違うのでしょうか?

7 名前: ある放射線科医 投稿日:2003/09/06(土) 02:45
IMRTはアメリカを中心にして確立され、急速に普及している治療方法です。IMRTに関しましては、どうしても利点ばかりを前面に押し出さざるを得ない面がありますが、私もうかつなことは書けません。影響が大きすぎますので。別の切り口で書いておきます。
IMRTは現在のところ、前立腺と頭・頚部など、治療したい部位と大切な臓器との関係が複雑な場所で、他に適切な治療方法がなく(放射線での)、移動の少ない場所のみに適応となっています。前のスレッドに書かれているように、それほど多くの施設が施行しているわけではありません。治療できる機械を導入している施設はたくさんあります(当院もそうですが)。しかし、非常に運用面で難しいため、現在千葉県がんセンターの幡野先生などを中心としてガイドラインの作成中です。
 一方、CFIMRTは、あまりに複雑で機械に頼っているIMRTに疑念を抱いた小生が、今まで確立している単純な手法を組み合わせることで、ほとんど同じ治療が出来ますよ!という提案です。具体的には弊HPを参照ください(http://www.cfimrt.com)
ちなみに、保険診療可能で、体内移動のあるような場所でも応用可能ですし、治療時間は一回5分程度(6方向くらいの治療ですが、こまかなパーツを使いません)です。現在はまだ臨床応用されている施設は少ないですが、暫時お待ちください。

8 名前: ある放射線科医 投稿日:2003/09/06(土) 03:01
自分でくりっくしたら、飛ばなかった(笑)。うしろの括弧までアドレスについてました。
http://www.cfimrt.com
です。最近の放射線治療は進歩が激しく、医療関係者でも混乱されている場合が多々ありますね。たくさんの選択肢があることは素晴らしいことだと思います。それぞれの手法の得手不得手がありますから、もし、御検討される際はセカンドオピニオンをとられてもいいかもしれません。
一回に多くの放射線を照射する治療と回数を重ねる治療では理屈も画像などの経過も異なりますから、ある種別に考えたほうがよろしいかもしれません。当方にもガンマナイフとIMRTのどちらにしたらいいのですか?といったようなメールが来たことがありますが、別の次元で考えるべきだと思います。しかし、啓蒙がうまくいっていないし、近い将来HPでまとめなきゃいけないかな?はああ・・・・たいへんだあ・・・(泣)